続・サラリーキャップのある世界へようこそ ~ベンドラメ礼生選手の問題提起について考える〜
ベンドラメ礼生の問題提起
先週、サラリーキャップがチームビルディングにどんな効果をもたらすか、について書いた。
レターを書き終えた直後にサンロッカーズ渋谷のベンドラメ礼生選手がこんなツイートをして話題になった。
「サラリーキャップについて、ポジティブな声は少ない。リーグの未来のために必要な制度。 そう信じたい。
でも、この移行期に影響を受ける選手がいる。 それは、この10年リーグを引っ張ってきた世代かもしれない。
すでに上限を超えているクラブからは 『実力とは別の理由』でマイナスの影響を受ける選手が間違いなく出る。
一方で、最低消化ラインがある以上 資金を使ってこなかったクラブにはチャンスも生まれる。
市場は、確実に動く。
だからこそ知りたい。 リーグはキャップを、いつ、いくらまで引き上げるのか。
年数も増加幅も示されないまま 選手にだけ“我慢”を求めて 『リーグを盛り上げてくれ』と言えるのだろうか。
複数年契約は、人生を左右する大きな決断だ。 『この1年を耐えれば、次はここまで上がる』 それが分かれば、選べる未来は変わるかもしれない。
これは可能な限り制度に寄り添った私個人の考えです。 そして、批判ではなく。お願いです」
かいつまんで論旨を書けば、サラリーキャップを導入すると割を食う選手がいる。サラリーキャップがいついくら上がるのかわからないと選手に対してフェアではない、ということだろう。
選手側からの視点ということで非常に興味深い。
そこで今週は、先週同様サラリーキャップ導入にかけては大先輩に当たるNBAを参考にしながら、ベンドラメ選手の主張について考えてみたい。
サラリーキャップで得をする選手、損をする選手
結論から書けば、ベンドラメ選手の主張は半分正解だ。
まず、これまで制限が無かったところにサラリーキャップを導入するのだから、Bプレミア移行に伴い割を食う選手は、当然いる。
ベンドラメ選手が書いているように、割を食うのがこれまでリーグを引っ張ってきたベテランである可能性は高いだろう。
Bプレミアでチームのイメージを一新したいチームは少なくないはずで、そういうチームが求めているのが高年俸のベテランよりも新しいスターなのは想像に難くない。
一方、残りの半分、即ちサラリーキャップがいついくら上がるのかわかれば選手が救われる、という主張については、NBAの歴史を鑑みるにそんなに単純な話ではないと言わざるを得ない。
NBAでは2016年にキャップスパイクと呼ばれる大混乱があった。
サラリーキャップを一気に34%上げた結果、その夏に契約を更新した選手だけが異常な大金を手に入れることになったのだ。特に中堅選手がその恩恵に浴した。キャップを上げると共にフロアも上げたので、とりあえず誰かの給料を上げる必要があったからだ。
このケースでは、たしかに選手が得をしたと言える。
しかし、儲かったのは当該年に契約更新があった選手だけだ。
2015年以前に契約した選手たちは相対的に少ない金額の契約を結んでいたし、2016年に各チームのキャップが埋まってしまったことで2017年はFAにとって冬となった。
では2016年のサラリーキャップ急騰がいつ確定したかというと、それは2015年3月のリーグと選手会の労使協定だ。
つまり、大幅に上がることが決まってから実際に反映されるまで一年ちょっとしかなかった。これでは選手側も準備のやりようがない。得をしたのも賢い選手というよりは運の良い選手だったと言える。
世界トップのNBAですらこのバタバタぶりなのだから、B.LEAGUEだって似たようなものかそれ以下と考えるのが妥当だろう。
以上がベンドラメ選手の主張が半分正解と書いた所以だ。
ところで、ベンドラメ選手のツイートには多くの引用リツイートがついて、プロからネット有識者まで様々な方々が意見を述べていたが、彼らにはある大事な観点が抜け落ちているのではないかと私は怪しんでいる。
というのも、誰もがベンドラメ選手の「サラリーキャップが上がる」という前提を疑っていなかったからだ。
いかにも島田コミッショナーはまさにベンドラメ礼生選手のポッドキャストで将来的なサラリーキャップの上昇を容認する発言をしている。
しかし、サラリーキャップが上がるにはその原資が必要である。
その原資を一体どこから調達するつもりなのだろうか。

