ダン・タシュニーHCのビジョン ~89ERSの躍進を未公開インタビューで読み解く~
ダブドリに「Grind」というコラムを連載している。
Grindは泥臭く努力を続けるとか地道にハードワークを積み重ねるとかいった意味を持つ言葉で、仙台89ERSのチームスローガンだ。
名前の通りこのコラムはナイナーズのシーズンを追うという内容なのだが、いかんせんダブドリの刊行が年に3、4回なので、どうしても記事に載せきれない情報が出てくる。
そうした未公開ネタを成仏させる場所が欲しかったというのが籠球闇鍋を始めた理由の一つだというのは、概要欄に書いた通りだ。
今週でB.LEAGUEのレギュラーシーズンが終わるので、当初の思惑通りそろそろナイナーズの話を書こうと思い立ち資料を見返していたら、オフに行ったダン・タシュニーHCのインタビューが出てきた。
開幕時期に出たダブドリvol.25用に話を聞いたのだが、選手の話だけで誌面が埋まってしまったので未公開のままになっていたのだ。そこで今週はこのインタビューを初公開すると共に、シーズンをほぼ終えた今私が感じることを併記していこうと思う。
大柴:シーホース三河時代に感じていた、ナイナーズの印象を教えてください。
ダン:まず、アウェイで来た際に歩いていて、街としてすごくいい場所だと感じていました。もう1つは、本当にポテンシャルのあるチームだと感じていたので、これから新しいものを作っていくには最高なチームだと思っています。
大柴:シーホースの戦い方をある程度ナイナーズに持ち込むことになりますか? それとも全く別のものを考えていますか?
ダン:本当にライアン(・リッチマン)コーチにはすごく助けられました。彼はバスケットボールについて素晴らしい考え方を持っているので、ナイナーズでも少し同じような戦術を使うことになるとは思います。ただ、選手の持っているスキルが違ってくるので、選手のスキルを細かく見ながら、どのようにすれば自分たちが1番成長できるかを考えながらやっていこうと思います。
【雑感】どの程度シーホース流を持ち込むか、開幕前はコーチ自身にもわからなかったのではないだろうか。
結果的にインタビュー当時の想定よりもかなりシーホースに近い思想になったと思われる。11月にシーホースに連敗した際、キャプテンの渡辺翔太が「自分たちは三河さんに近い戦い方をしているので、現時点での完成度の差がわかったし、目指すべき姿もわかりました」と話していたし、11月のバイウィーク前には同じく渡辺が「三河さんの初年度も、序盤は5割程度だったのに後半に勝率を伸ばしてCSに出たので、僕たちにも同じことができると思っています」とコメントを残している。
おそらくチーム内で渡辺が発言したようなシーホースとの比較が共有されていたのだろうと私は推測している。
大柴:選手の持っているスキルという話が出ましたが、今季のリクルートに関してはどの程度関与されたのでしょうか?
ダン:リクルートには積極的に関わりました。ヘッドコーチとして速いバスケットボールを目指したかったのと、どんな相手にも柔軟に対応できるチームを作りたかったので、なんでもできる選手を集めました。本当にいろんな才能が揃ったので、これからどれだけ上手くフィットさせていけるかで、どれだけ勝っていけるかが決まると思います。
【雑感】実際に、船生誠也、荒谷裕秀、杉浦佑成といった複数ポジションをこなす選手たちと、渡辺、岡島和真というペースを上げられる二人のガードが重宝されることになった。小さい相手にも大きい相手にも勝ち星を挙げているので、初年度から「柔軟に対応できるチーム」は構築できたように思う。ただ、最終節を残した現在のペースはリーグ15位。目指していた速いバスケットボールは来季への宿題か。
大柴:プレシーズンの宇都宮ブレックス戦ではスモールラインナップでしたが、相手のグラント・ジェレットが欠場したからスモールを組んだだけで、スターターのラインナップは相手に合わせて柔軟に変えていくということでしょうか?
