NBAを追われた男
皆さんはファンタジー・スポーツをご存知だろうか。
プロスポーツリーグのスタッツで遊ぶゲームで、MLBで誕生しNFLで一気に市民権を得た。
ゲームの内容をかいつまんで言えば、活躍する選手を予想して自分のチームを作り、実際の成績に応じて勝ち負けが決まるというものだ。一日の成績で勝負することもできるし、シーズンを通して競いあうこともできる。
お金を賭けて楽しむのが一般的なアメリカでは、ファンタジー・スポーツの市場規模が400億ドル(約6兆円以上)を超えたと言われているが、日本ではスポーツ・ベッティングが禁止されていることもあり、アメリカのような盛り上がりは見せていない。
以前「B.LEAGUE#LIVE」というサービスがあって、アメリカに近いことを試みようとしたことがある。日本では集めた参加費を成績に応じて再分配すると法に触れてしまう。そのため、参加者から参加費を集めるところまでは同じだが、賞金は参加費からではなくスポンサーから集めることで法の目をすり抜けた。
このサービスが終了した正確な理由を私は知らない。推測するならスポンサーがつかなくなったからか、参加費がスポンサー賞金を下回る、いわゆる逆ザヤが頻発したから、といったところだろう。
斯くいう次第で日本ではマイナーなままのファンタジー・スポーツだが、私はかれこれ5年以上プレーし続けている。
友人たちと毎週NBAについて語っているポッドキャスト『MarkTonightNTR』で、MC陣とリスナーの交流リーグを毎シーズン開いているからだ。
私のファンタジーの成績は贔屓目に言っても並といったところだろう。優勝はNTRとは別のリーグで一度経験したのみだ。ただし、そこそこの確率でプレーオフには進出してきた。
自分が特段下手だという認識もないのだが、昨季に関しては下手を打ってしまった。
我々のファンタジーリーグはシーズンを通して行われるため、ドラフトの出来不出来が行方を大きく左右する。
基本的には手堅く数字を稼ぐ選手を中心に選びつつ、その年に飛躍しそうな若手を少しつまむのが常道だ。特にルーキーは大ゴケの可能性があるため、手を出さない方が無難とされている。
ところが、昨季の私はその常道を踏み外した。ドラフトルームに入室した時点で指名順位が最下位ということがわかり、あえてホームラン狙いの指名を連発したのだ。
1巡目のトレイ・ヤングと2巡目のパオロ・バンケロについては後悔していない。ヤングはほとんど試合に出なかったしバンケロも振るわない成績だったが、期待値を考えればギャンブルというほどでもなかったと思う。
悔やまれるのは大振りに行って空振った中位ピックだ。3巡目のジャ・モラントは怪我でほとんど出場しなかった。4巡目のマタス・ブゼリスはMIPクラスの活躍を予想したが、実際にはそれほど大きな役割を任されなかった。6巡目のジェイレン・グリーンもモラントほどではないにせよ欠場が続いた。
さらに7巡目以降は全員ルーキーを指名している。今思えば正気の沙汰ではない。その時は指名順位の不利を取り返そうと必死だったのだろうが、ファンタジーはそんなに甘いゲームではなかった。
はたして私はスタートで負ったハンデを覆すことができず、初の最下位でシーズンを終えたのだった。
白状すると、ギャンブル指名に憑りつかれていたドラフト当日の私は、一つ大切なルールを忘れていた。